亀太郎 「先生、原油トレードで勝ち続けてる人っているんですか?原油って値動き荒くて、みんなやられてるイメージなんですけど…」

亀美 「おるぞ。ピエール・アンデュランド(Pierre Andurand)。原油トレードの世界で”天才”と呼ばれる男じゃ。」

亀太郎 「天才…?どのくらいすごいんですか?」

亀美 「2008年のリーマンショックで原油暴落を的中。2020年のコロナでも暴落を的中。2022年のウクライナ戦争では暴騰を的中。ロングもショートも、方向が変わるたびに正しい側に立ち続けてきた男じゃ。」

亀太郎 「ロングもショートも…?」

亀美 「そうじゃ。強気派に固定されず、弱気派にも固定されない。状況が変われば瞬時にポジションを反転させる。これが彼の最大の強みなんじゃ。」


経歴:エリート街道から独立へ

亀美 「まずはアンデュランドの経歴を見てみよう。」

時期所属役割
1990年代後半フランスの工学系大学卒業数学・物理を専攻
2000年頃ゴールドマン・サックス(シンガポール)原油トレーダーとしてキャリア開始
2003〜2007年Vitol(世界最大の石油トレーディング会社)原油トレーダー
2007年BlueGold Capital(共同設立)ヘッジファンドを立ち上げ
2008年BlueGold原油暴落で巨額リターン。AUMは$300M→$2.4Bに急成長
2012年BlueGold解散共同創業者と方針対立
2013年〜Andurand Capital Management自身のファンドを設立。現在に至る

亀太郎 「ゴールドマン出身で、Vitolっていう巨大商社を経て独立…エリートですね。」

亀美 「じゃが、アンデュランドが評価されているのは学歴やキャリアではない。実績じゃ。」


主な実績:暴落も暴騰も的中させ続けた記録

亀美 「まず、アンデュランドの年別パフォーマンスを見てくれ。」

Andurand Capital 主要リターン一覧

リターン原油の方向アンデュランドのポジション主な背景
2008+209%(BlueGold)暴落($147→$32)ショートリーマンショック
2009+55%(BlueGold)反発($32→$80)ロング世界経済回復期待
2013-18%レンジファンド設立初年度、苦戦
2014+38%暴落($100→$55)ショートシェール革命・OPEC崩壊
2015-3%下落継続タイミング苦戦
2016+22%反発($26→$55)ロングOPECプラス合意
2017+11%緩やかな上昇ロング減産効果
2018-20%乱高下($75→$42)10月の急落で損失
2019+57%回復→高値ロング地政学リスク
2020+154%暴落→反発ショート→ロングコロナショック
2021+87%回復($48→$75)ロング世界経済再開
2022+162%暴騰($75→$130)ロングウクライナ戦争
2023-12%下落($85→$70)中国需要減速で苦戦
2024+28%乱高下柔軟に切替中東緊張
2025+45%上昇→調整ロング→ショートOPEC減産・米国増産
2026 Q1+31%急騰ロングイラン/ホルムズ海峡危機

亀太郎 「2008年に+209%、2020年に+154%、2022年に+162%…!桁違いですね。」

亀美 「注目すべきは、原油が暴落した年も暴騰した年も大勝ちしていることじゃ。2008年はショートで、2022年はロングで。方向を問わず勝てるのが本物のトレーダーじゃ。」

亀太郎 「でも2013年や2018年はマイナスですよね。負ける年もあるんですか?」

亀美 「もちろんある。負ける年があっても、大勝ちの年で圧倒的に取り返す。これがアンデュランドのスタイルじゃ。」


伝説の2020年コロナトレード

亀太郎 「2020年の+154%って、コロナの年ですよね。あの原油がマイナス価格になった年。」

亀美 「そうじゃ。これがアンデュランドの”伝説”と呼ばれるトレードのひとつじゃ。時系列で見てみよう。」

時期原油価格アンデュランドの行動
2020年1月$63中国でのウイルス拡散を分析。需要崩壊を予測
2020年2月初旬$55大規模ショートポジション構築
2020年3月$30→$20ショート継続。OPEC+決裂で暴落加速
2020年4月20日-$37.63WTI史上初のマイナス価格。ショートで巨額利益
2020年4月下旬$15付近ショートを全て手仕舞い。ロングに転換
2020年後半$40→$48ロングで利益。年間+154%

亀太郎 「2月の時点でもう暴落を読んでたんですか!」

亀美 「アンデュランドは原油の需給データを徹底的に分析しておる。中国の移動データ、航空便の減少、工場稼働率…これらを統合して”需要が25%消える”と計算した。他のファンドがまだ楽観的だった2月にじゃ。」

亀太郎 「そしてマイナス価格で利益を出して、さらにそこからロングに切り替えて…すごすぎます。」

亀美底値でショートを手仕舞い、ロングに切り替える判断力。これは”勇気”ではなく”分析”の結果じゃ。需給バランスが回復に向かうことをデータで確認したから、ポジションを反転させたのよ。」


分析手法:地政学 + 需給分析

亀太郎 「アンデュランドはどうやって相場を読んでるんですか?テクニカル分析ですか?」

亀美 「テクニカルはほとんど使わん。彼の分析はほぼ100%ファンダメンタルズじゃ。」

アンデュランドの分析フレームワーク

分析領域具体的に見るもの
供給サイドOPEC生産量、米国シェール掘削リグ数、制裁の影響
需要サイド中国・インドの消費データ、航空需要、製造業PMI
地政学中東情勢、ロシア-ウクライナ、イラン核問題、ホルムズ海峡
在庫データ米国EIA週間在庫、クッシング貯蔵率、海上浮体在庫
ポジショニングCFTC建玉レポート、他ファンドのポジション偏り
政治的意思決定OPECプラス会合、各国の増産/減産の政治的動機

亀美 「彼がよく言うのは、“原油市場は物理的な商品の市場であり、最終的には需給で決まる”ということじゃ。投機やセンチメントは短期的なノイズに過ぎん。」

亀太郎 「じゃあ、チャートは見ないんですか?」

亀美 「まったく見ないわけではないが、エントリーの根拠にはしない。“なぜ原油は今この価格なのか”を物理的な需給から説明できなければ、ポジションを取らない。これが彼のルールじゃ。」


なぜ彼は勝ち続けるのか?

亀太郎 「でも、ファンダメンタルズ分析をするヘッジファンドなんて他にもたくさんあるじゃないですか。なぜアンデュランドだけが勝ち続けるんですか?」

亀美 「いい質問じゃ。理由は3つある。」

理由1:方向転換の速さ

亀美 「多くのファンドマネージャーは、一度”強気”と宣言すると、なかなか”弱気”に転換できない。メンツがあるからの。じゃがアンデュランドは違う。」

亀美 「2022年に”原油は$150に行く”と公言しておきながら、データが変わった瞬間にロングを手仕舞い、ショートに転換した。自分の発言に縛られない。これは普通の人間にはできんことじゃ。」

理由2:損切りの徹底

亀美 「2018年はマイナス20%で終わったが、10月の急落局面で早めに損切りした結果じゃ。損切りしなければ、もっと悲惨な数字になっておった。」

亀太郎 「天才でも損切りするんですね。」

亀美天才だから損切りするんじゃ。“自分は間違っているかもしれない”という前提で常にトレードする。これがアンデュランドの哲学じゃ。」

理由3:集中と専門性

亀美 「アンデュランドは株もやらん。債券もやらん。暗号資産もやらん。原油だけ。20年以上、原油の需給だけを追い続けておる。」

亀太郎 「一つの市場を極めるってことですか。」

亀美 「そうじゃ。原油市場の参加者、OPEC各国の政治家の思惑、シェール企業の損益分岐点、中国の戦略的備蓄量…全てを頭に入れておる。だから他の人には見えない”歪み”が見えるのじゃ。」


2026年Q1:イラン/ホルムズ海峡危機

亀太郎 「今年のQ1も+31%ですよね。何があったんですか?」

亀美 「2026年1月、イランと米国の緊張が再び高まり、ホルムズ海峡の封鎖リスクが急上昇した。世界の原油輸送の約20%がホルムズ海峡を通過する。ここが封鎖されれば、原油価格は即座に暴騰する。」

指標数値
ホルムズ海峡通過量約2,100万バレル/日
世界供給に占める割合約21%
Brent原油(2025年末)$72
Brent原油(2026年3月)$95
アンデュランドQ1リターン+31%

亀美 「アンデュランドは2025年末の時点で、イランの核開発進展と米国の制裁強化のシナリオを読んでロングポジションを構築しておった。地政学の読みがまた的中したわけじゃ。」


個人トレーダーが学べること

亀太郎 「でも先生、アンデュランドは何百億円も運用するヘッジファンドですよね。僕たち個人トレーダーが学べることってあるんですか?」

亀美 「大いにある。彼の手法そのものは真似できなくとも、考え方は応用できるのじゃ。」

アンデュランドの原則個人トレーダーへの応用
ファンダメンタルズ重視EIA在庫、OPEC動向、地政学ニュースを最低限チェックする
方向転換の速さ自分の予想が外れたら、メンツを捨ててすぐ損切り
損切りの徹底全資金の2%以内のリスクでエントリー
一つの市場に集中全通貨ペアを追うより、得意な1-2ペアを深く理解する
データで判断”なんとなく上がりそう”ではなく、根拠を言語化してからエントリー
大きな波を狙う小さなレンジ相場で消耗せず、方向性が明確な時だけ勝負する

亀太郎 「“自分は間違っているかもしれない”という前提でトレードする…これは僕にも使えそうです。」

亀美 「それが一番大事じゃ。アンデュランドほどの天才でも、マイナスの年がある。間違いを前提にしたリスク管理があるからこそ、大勝ちの年に全てを取り返せる。」

亀太郎 「勝率じゃなくて、トータルで勝つ仕組みを作るってことですね。」

亀美 「その通りじゃ。アンデュランドの勝率はおそらく50%前後。じゃが、勝つ時は大きく勝ち、負ける時は小さく負ける。この非対称性こそが、18年間のキャリアで資産を築いた秘密じゃ。」


まとめ

亀美 「今日の教訓をまとめるぞ。」

  1. ピエール・アンデュランドは原油市場最強のトレーダーの一人。暴落も暴騰も的中させ続けている
  2. **ファンダメンタルズ(需給 + 地政学)**が彼の分析の根幹。テクニカルではない
  3. 方向転換の速さと損切りの徹底が、負けを小さく・勝ちを大きくする
  4. 一つの市場に集中することで、他の参加者には見えない歪みが見える
  5. 個人トレーダーも「間違いを前提にしたリスク管理」は今日から実践できる

亀太郎 「原油って怖いイメージでしたけど、ちゃんと分析すれば戦えるんですね。」

亀美 「原油に限らず、“なぜこの価格なのか”を自分の言葉で説明できるかどうか。これがトレードの出発点じゃ。アンデュランドはそれを20年間やり続けておる。」

亀太郎 「まずは僕も、ドル円の”なぜ”を説明できるようになるところから始めます!」

亀美 「うむ。それでこそ亀太郎じゃ。」


※本記事はピエール・アンデュランドの公開インタビュー、Bloomberg・Reuters等の報道、ファンドの公開パフォーマンスデータを基に構成しています。個別の年次リターンは複数の報道ソースから推定した概算値であり、正確な数値はファンドの公式開示に依拠してください。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。原油先物・CFD取引は元本を超える損失が生じる可能性があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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