決定内容
2026年3月18-19日のFOMC(連邦公開市場委員会)は、フェデラルファンド金利の誘導目標を4.25-4.50%で据え置きとした。
市場の事前予想通りの結果で、据え置き確率はCME FedWatch Toolで98%に達していたため、サプライズはなし。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 政策金利 | 4.25-4.50%(据え置き) |
| 投票結果 | 全会一致 |
| QT(量的引き締め) | 継続(国債の月間縮小ペースを維持) |
| 声明文の変更 | 軽微な文言修正のみ |
ドットプロット(金利見通し)
今回のFOMCでは四半期に一度の**SEP(経済見通し)**が発表された。ドットプロット(各FOMC参加者の金利予想)は以下の通り。
2026年末の金利予想中央値
| 時期 | 12月FOMC | 3月FOMC | 変化 |
|---|---|---|---|
| 2026年末 | 3.75-4.00% | 3.75-4.00% | 変わらず |
| 2027年末 | 3.25-3.50% | 3.50-3.75% | やや上方修正 |
| 長期中立金利 | 3.00% | 3.00% | 変わらず |
ドットの分布
2026年末の金利見通し(19名の参加者):
| 金利レンジ | 人数 |
|---|---|
| 4.25-4.50%(据え置き) | 3名 |
| 4.00-4.25%(1回利下げ) | 5名 |
| 3.75-4.00%(2回利下げ) | 7名 |
| 3.50-3.75%(3回利下げ) | 3名 |
| 3.25-3.50%(4回利下げ) | 1名 |
中央値は2回利下げ(3.75-4.00%)で12月時点と変わらず。 ただし、据え置き派が前回の1名から3名に増加しており、利下げに対してやや慎重な姿勢がにじむ。
パウエル議長会見の要点
主なコメント
景気認識について:
「米国経済は引き続き堅調。労働市場は均衡しており、インフレは2%の目標に向けて緩やかに低下している」
利下げの時期について:
「データ次第のアプローチを継続する。利下げを急ぐ必要はないが、適切な時期に行動する準備はある」
関税の影響について:
「関税政策による不確実性は高い。インフレへの影響を注意深く監視している。一時的な価格上昇なのか、持続的なインフレ圧力なのかを見極める必要がある」
市場が注目したポイント
- 「利下げを急ぐ必要はない」 — ハト派への転換はまだ先
- 関税への言及が増加 — 12月会見より踏み込んだ表現
- 労働市場の評価は安定 — 「均衡している」を維持
ドル円の反応(MT5データ)
FOMC当日の動き
| 時間(日本時間) | イベント | USDJPY | 変動 |
|---|---|---|---|
| 3/20 03:00 | 声明文発表 | 159.30→159.55 | +25pips |
| 3/20 03:05 | ドットプロット確認 | 159.55→159.15 | -40pips |
| 3/20 03:30 | パウエル会見開始 | 159.15→159.40 | +25pips |
| 3/20 04:00 | 会見終了 | 159.40→159.20 | -20pips |
パターン分析: 声明文でドル買い → ドットプロットで据え置き派増加を嫌気してドル売り → パウエルの「急がない」発言でドル買い戻し → 最終的に小幅な動きで収束。
過去のFOMC後のドル円パターン
| 会合 | 決定 | 翌日のUSDJPY | 1週間後 |
|---|---|---|---|
| 2026/3 | 据え置き | +15pips | — |
| 2026/1 | 据え置き | +30pips | +80pips |
| 2025/12 | 利下げ(4.50→4.25) | -120pips | -150pips |
| 2025/9 | 利下げ(5.00→4.50) | -200pips | -180pips |
据え置きの場合、ドル円は翌週にかけて緩やかにドル高方向に動く傾向がある。利下げ期待の後退がドル買いにつながるためだ。
今後の利下げ見通し
市場の利下げ織り込み(CME FedWatch)
| 会合 | 据え置き確率 | 利下げ確率 |
|---|---|---|
| 5月FOMC | 78% | 22% |
| 6月FOMC | 45% | 55% |
| 9月FOMC | 20% | 80% |
| 12月FOMC | 10% | 90% |
市場は6月が最初の利下げタイミングと見ているが、確率は五分五分。次回5月FOMCでの利下げはほぼないとの見方。
利下げのトリガーとなるシナリオ
- 雇用統計の悪化 — NFP(非農業部門雇用者数)が15万人以下に減速
- CPI(消費者物価指数)の低下 — コアCPIが前年比3.0%以下に
- 景気後退の兆候 — GDP成長率がマイナスに転じる
- 金融市場の混乱 — 株式市場の大幅下落、信用スプレッドの拡大
利下げが遅れるシナリオ
- 関税によるインフレ再加速 — CPI上昇でFRBが利下げに慎重に
- 労働市場の過熱 — 賃金上昇率が再加速
- 原油価格の高騰 — 中東情勢悪化による供給懸念
トレードへの影響
短期(1〜2週間)
- ドル円は159円台を中心にレンジ推移が続く可能性
- FOMC通過で材料出尽くし感
- 次の方向を決めるのは3月末の年度末フローとPMI速報値
中期(1〜3ヶ月)
- 6月利下げの確率が高まればドル安円高方向へ
- 逆に関税インフレ懸念が強まれば利下げ先送り→ドル高維持
- 4月末の日銀会合(利上げ観測あり)も大きな変数
戦略
| シナリオ | 想定レンジ | 対応 |
|---|---|---|
| 利下げ期待維持 | 157-160 | レンジ内での逆張り |
| 利下げ期待後退 | 160-163 | 押し目買い |
| 利下げ前倒し観測 | 155-158 | 戻り売り |
まとめ
今回のFOMCはサプライズなしの据え置きで、市場への影響は限定的だった。
ただし、ドットプロットで据え置き派が増えたこと、パウエル議長が「急がない」と繰り返したことは、利下げが後ずれするリスクを示唆している。
次の大きなイベントは4月の雇用統計とCPI。ここでインフレの減速が確認されれば6月利下げの確度が上がり、ドル安円高に動くだろう。逆に関税の影響でインフレが再加速すれば、利下げは9月以降にずれ込み、ドル高が続くことになる。
引き続き、データ次第の展開。ポジションを持つなら、方向が明確になるまでロットは控えめにしておくのが賢明だ。