「ドル円は上がるの?下がるの?」
FXを始めたばかりの人が最初にぶつかる壁だ。ネットで調べても、アナリストの意見はバラバラ。テクニカル分析の本を読んでも、結局「後付け」に見えてしまう。
じゃあ、55年分の実データに聞いてみよう。
この記事では、1971年のニクソンショック以降のドル円データ14,269日分を統計分析し、**誰も教えてくれない「数字の事実」**をすべて公開する。
ドル円55年の全体像 — 358円から75円、そして159円へ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 分析期間 | 1971年〜2026年(55年間) |
| データ本数 | 14,269日分 |
| 史上最高値(円安) | 358.44円(1971年1月13日) |
| 史上最安値(円高) | 75.57円(2011年10月31日) |
| 現在値 | 159.217円(2026年3月20日) |
| 歴史的位置 | 過去データの72.1パーセンタイル |
1971年、ドル円は358円だった。そこからニクソンショック、プラザ合意を経て、2011年には75円まで円高が進んだ。
そして今、159円。55年間のレンジ(75〜358円)の上位3割に位置している。
年代別レンジ — 時代ごとにドル円はこう動いた
| 年代 | 高値 | 安値 | 平均 | レンジ幅 | 時代の特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1970s | 358.44 | 177.05 | 278.1 | 181円 | ニクソンショック→変動相場制 |
| 1980s | 277.65 | 120.30 | 198.5 | 157円 | プラザ合意で急激な円高 |
| 1990s | 160.40 | 79.75 | 118.8 | 81円 | バブル崩壊→アジア通貨危機 |
| 2000s | 135.19 | 84.82 | 112.0 | 50円 | ITバブル→リーマンショック |
| 2010s | 125.85 | 75.57 | 101.2 | 50円 | 東日本大震災→アベノミクス |
| 2020s | 161.94 | 101.17 | 132.5 | 61円 | コロナ→歴史的円安 |
2000〜2010年代はレンジ50円に収束。しかし2020年代に再びレンジ拡大(61円)。円安トレンドが歴史的にも異例のスピードで進行している。
月別アノマリー — 円高になりやすい月、円安になりやすい月
55年分のデータから、各月の「円安になりやすさ」をランキング。
| 順位 | 月 | 平均日次変化率 | 勝率 | 傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 3月 | +0.026% | 37.5% | 円安になりやすい |
| 2 | 11月 | +0.018% | 37.6% | 円安になりやすい |
| 3 | 1月 | +0.015% | 36.2% | やや円安 |
| 4 | 9月 | +0.006% | 38.9% | 中立 |
| 5 | 5月 | +0.006% | 37.4% | 中立 |
| … | … | … | … | … |
| 11 | 8月 | -0.003% | 35.9% | やや円高 |
| 12 | 7月 | -0.008% | 36.4% | 円高になりやすい |
発見
- 3月は最も円安になりやすい月。 年度末決算でレパトリ(円買い)が起きると言われるが、データ上は逆
- 7月・8月は円高になりやすい。 夏場のリスクオフの影響か
- ただし全体的に差は小さく、月だけでトレードの勝敗は決まらない
曜日別の傾向 — 木曜日には気をつけろ
| 曜日 | 平均変化率 | 勝率 | 平均レンジ | 傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 月曜 | +0.015% | 38.0% | 0.644% | 円安寄り・動き小さい |
| 火曜 | +0.003% | 36.6% | 0.667% | 中立 |
| 水曜 | +0.015% | 36.8% | 0.694% | 円安寄り |
| 木曜 | -0.015% | 35.5% | 0.707% | 円高寄り・最も荒い |
| 金曜 | +0.019% | 37.4% | 0.709% | 円安寄り・動き大きい |
発見
- 木曜日は唯一の「マイナス曜日」。 勝率35.5%で最低、かつボラティリティは最大級
- 木曜には米国の経済指標発表(新規失業保険申請件数など)が集中する
- 金曜は最もボラティリティが大きいが、円安寄り。 週末前のポジション調整で動きやすい
歴史的大変動TOP10 — 1日で6%動いた日
| 順位 | 日付 | 変動率 | 方向 | 何が起きたか |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1998/10/07 | -6.39% | 円高 | LTCM破綻→ドル暴落 |
| 2 | 2008/10/28 | +5.27% | 円安 | リーマン後の急反発 |
| 3 | 1998/06/17 | -4.58% | 円高 | 日米協調介入 |
| 4 | 1993/08/19 | +4.14% | 円安 | 円高是正の口先介入 |
| 5 | 1988/01/05 | +4.14% | 円安 | 年始のドル買い戻し |
| 6 | 1995/08/15 | +4.04% | 円安 | 円高阻止の大規模介入 |
| 7 | 1988/01/15 | +4.00% | 円安 | G7後のドル買い |
| 8 | 2022/12/20 | -3.84% | 円高 | 日銀YCC修正サプライズ |
| 9 | 2022/11/10 | -3.80% | 円高 | 米CPI鈍化→ドル急落 |
| 10 | 2008/10/24 | -3.78% | 円高 | リーマン暴落の渦中 |
大変動の多くは政策変更(介入・利上げ・YCC修正)が引き金。
有事のドル円 — 戦争・危機で何が起きたか
| イベント | 期間 | 変動率 | 最大下落 | 傾向 |
|---|---|---|---|---|
| ニクソンショック | 1971/8-12 | -7.3% | -7.3% | 円高 |
| プラザ合意 | 1985/9-1986/9 | -33.8% | -34.5% | 大幅円高 |
| 湾岸戦争 | 1990/8-1991/2 | -9.8% | -16.0% | 円高 |
| アジア通貨危機 | 1997/7-1998/6 | +20.9% | -2.6% | 大幅円安 |
| リーマンショック | 2008/9-2009/3 | -6.7% | -17.8% | 円高 |
| コロナショック | 2020/2-6 | -3.1% | -9.1% | 円高 |
| ウクライナ侵攻 | 2022/2-12 | +14.1% | -0.5% | 大幅円安 |
| アベノミクス | 2012/12-2013/12 | +23.4% | -0.0% | 大幅円安 |
「有事の円買い」は本当か?
半分しか当たらない。 危機の種類で分かれる。
- 日本に直接影響する危機(震災、リーマン) → 円高
- 海外の危機で日本に直接影響が薄い(ウクライナ、9.11) → 円安
- 資源価格が絡む危機(オイルショック、ウクライナ) → 円安(日本は資源輸入国)
今のイラン情勢に当てはめると?
中東有事 = 原油高 → 日本は資源輸入国なので円安圧力。ウクライナのパターン(+14.1%円安)に近くなる可能性が高い。
まとめ — データが教える3つの法則
法則1: 月と曜日に偏りはあるが、それだけでは勝てない
3月は円安、7月は円高の傾向。木曜日は要注意。だがアノマリーは「知っておく」もの。
法則2: 有事の円買いは条件次第
「戦争=円高」と思い込むのは危険。資源高を伴う海外の危機は、むしろ円安。
法則3: ボラティリティこそが最大の武器
大きく動く日は政策変更・中央銀行のサプライズで起きる。経済指標カレンダーと中銀イベントのチェックが最重要。